バイアグラ・レビトラ・シアリスなどのED治療薬は治療効果が高い薬ですが、中断が多いことでも知られています。特に初回使用でやめてしまった人が3割強で、その後の使用が半年も経ってからの人が5割もいました。その原因としては慢性疾患(高血圧症、脂質異常症、糖尿病)の合併例や費用が高額、効果が十分得られなかった、副作用があった、新たに病気(心血管系など)になった、パートナーがいなくなったなどが挙がっています。
次のような文献がありました。
ED(イーディー)治療が初めての患者にバイアグラ100mgを処方しその後の経過を1年間追ったものです。
以下を厳守しています。
- ・空腹時に飲むこと
- ・服用の説明と注意、カウンセリング実施・・・その後プラセボと内服群 2群に分けている
- ・開始前、半年後、1年後に評価
- ・副作用が出た人は減量
- ・他の疾患の既往(骨盤内手術歴、同放射線治療歴、抗アンドロゲン治療)は除外。
- ・評価はIIEFスコアとEHSにて行う。
*EHS:勃起硬度スケール
- 4:完全な硬さのある勃起
- 3:挿入可能な陰茎の硬さはあるが完全な勃起ではない
- 2:勃起はあるが挿入には不十分
- 1:陰茎は大きくなるが硬くは無い
平均61歳 180症例
実施前のEHSグレード1:2:3+4=20%:40%:40%
80%の人が1段階の改善 40%が2段階の改善、10%が3段階の改善を示していました。
つまり、適切な指導(高容量、空腹時内服など)を行えばEDが十分な改善を認めることから長期内服につながっています。特に高容量開始は効果が出やすい分満足感を促し内服継続につながっています。また空腹時に内服を徹底することで十分な効果を引き出しており、効果に対する不満を少なくし、継続へつながっています。さらにアンケートで判明したことではパートナーの助言が大きいということです。ED治療薬で改善するとパートナーの満足度が高まり、パートナーがED治療薬の内服継続を勧めていくため、内服を継続をしていくようになります。
以上よりED治療薬を続けていくには事前の空腹時内服、飲酒を避ける、適切な薬剤選択、副作用対策といった事前のしっかりとした内服指導や高容量内服開始で効果をしっかり実感させること、またパートナーの助言が重要となり、ED改善で性的満足と自信の回復、パートナーと二人での満ち足りた人生へとつながっていくことになります。
また今回はバイアグラの研究でしたがレビトラ・シアリスのケーススタディでは少し違った結果が出たかもしれません。実際の診療では高容量の副作用が心配されるかたも多くいらっしゃいます。ユナイテッドクリニックの外来では適切な量をお勧めしています。高容量が必要な方には最初から高容量をお勧めしておりますし、低用量で十分な方には低用量をお勧めしております。下記にも記しておりますが元々ED治療薬は心臓の薬剤として開発されており、心血管系の機能改善効果など様々な薬効が認められておりますので過度な心配は不要です。
ED治療薬はクリニックや病院で処方を(シアリス処方・タダラフィル)
シアリスなどのED治療薬が発売された当初はとても危険な薬というイメージが強く、いまだにそのイメージを持たれている患者さんもいらっしゃいます。しかし近年の研究で、ED治療薬は血管機能全般の機能改善効果などが知られ、アンチエイジングの薬ともいわれるようになりました。ED改善効果だけではなく、心不全の治療薬として、その他血管系の治療薬として期待されています。実際にバイアグラの成分である「シルデナフィル」は肺動脈高血圧症の治療薬として認可され、シアリスの成分である「タダラフィル」は肺動脈高血圧症、前立腺肥大症で認可されており活躍の場を広げています。
このように安全性、有用性は知られてきましたがやはりそこは薬剤です。用法・用量や副作用など、また自身にあった薬剤の選択など安易に自己判断されることは危険です。