薄毛で悩んでいる20代の男性は10～20人に1人と、今や幅広い世代の方が薄毛に悩まされています。しかし、その一方で薄毛治療が行えるお薬の研究が進んでいることも事実です。ここでは、「AGA」と「薄毛に効果的なお薬」について説明させていただきたいと思います。
AGAとは
AGAとは、Androgenetic Alopeciaの略で「男性型脱毛症」の意味です。成人男性によく見られる髪が薄くなる状態のことで、思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が薄くなっていきます。本来のヘアサイクルよりも早く脱毛してしまう状態になり、通常3～6年のヘアサイクルが数カ月～1年くらいという短い期間で抜けてしまう状態になっているのです。髪の毛そのものも次第に細くなり、産毛のような毛がようやく生える程度になり、最終的に生えなくなってしまいます。AGAは男性ホルモンの影響や遺伝が主な原因とされています。主な原因物質はジヒドロテストステロン（DHT）という男性ホルモンと言われています。
ジヒドロテストステロン（DHT）とは
ジヒドロテストステロン（DHT）は、男性型脱毛症AGAの原因となる悪玉男性のホルモンです。一般的な男性ホルモンであるテストステロンが5αリダクターゼによって変換されたものがDHTで、これが毛根にある男性ホルモンレセプターと結合することによって、髪のヘアサイクルが乱れ、抜け毛が発生してしまうのです。
AGA治療
AGAの治療法はいくつもありますが、一般的にAGA治療薬と呼ばれているお薬を使用します。
プロペシア(フィナステリド)とは
AGAの原因である男性ホルモンのDHTの生成を阻害することによって、ヘアサイクルを元通りにして、脱毛を抑制する薬です。あくまでAGAの進行を防ぐ薬で、単体で発毛効果が期待できる薬ではありません。また、AGAの進行を遅らせる薬剤ですので、円形脱毛症や抗がん剤などによる脱毛症には効果が期待出来ません。
1日1錠服用し、通常6ヵ月以上連続しての服用で効果が確認できるとされていて、効果を持続させるために継続して服用することが前提とされています。服用した結果効果があっても、服用を中止すると効果がなくなり再度脱毛症状が進行しますのでご注意ください。
このフィナステリドは、男性のAGAの方には大きな効果が期待されていますが、女性に対する適応は認められていません。妊娠中の方・妊娠している可能性のある方、搾乳中の女性が使用した場合、胎児の発育に影響を及ぼす危険性がありますので決して服用しないでください。
ザガーロ(デュタステリド)とは
ザガーロ(デュタステリド)はプロペシア(フィナステリド)と同様に、AGAの原因であるDHTの生成に必要不可欠な5α-還元酵素を阻害し、DHTの生成を抑制します。この5α-還元酵素にはⅠ型とⅡ型があります。フィナステリドは5α-還元酵素のⅡ型しか抑制することが出来ませんが、ザガーロはこの5α-還元酵素のⅠ型とⅡ型の両方を抑えることが出来ます。これまでⅡ型しか抑えられなかったフィナステリドではあまり効果が得られなかった方も、ザガーロがⅠ型、Ⅱ型両方に作用することによって、効果が期待できるようになりました。ザガーロもフィナステリドと同じく女性の方は服用できませんのでご注意ください。
ミノキシジルとは
ミノキシジルは、毛髪の成長や発毛を促す効果があるとされている薬で、外用薬と内服薬の2種類があります。また、外用薬に比べ内服薬の方がより効果が期待できるとされています。女性男性型脱毛症(FAGA)にも効果が認められていて、外用薬は男性・女性ともに治療薬として使用可能ですが、内服薬の女性の服用は避けてください。
フィナステリドやザガーロと併用することで相乗効果があります。フィナステリドやザガーロは脱毛や薄毛の進行を抑制し、ヘアサイクルを正常な状態に戻しますが、発毛効果自体は無いので発毛育毛効果の強いミノキシジルと併用して服用することでより効果を実感できます。
また、2017年に日本皮膚科学会が発表した「男性型脱毛症診療ガイドライン」ではAGAの治療に用いるべき治療法が、以下のように推奨度順にランク付けされています。
| A（行うよう強く勧められる） | フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル |
| B（行うよう勧められる） | 自毛植毛、LED および低出力レーザー照射、アデノシン外用 |
| C1（行うことを考慮してもいいが、充分な根拠がない） | カルプロニウム塩化物の外用、ケトコナゾールの外用 |
| C2（根拠がないので勧められない） | ビマトプロストおよびラタノプロストの外用、成長因子導入および細胞移植療法 |
| D（行わないよう勧められる） | 人工植毛 |
フィナステリド・デュタステリドでDHTの発生を防ぎ、しっかりとした髪の毛は生えてくる下地をつくり、ミノキシジルで発毛を促すといった治療法が現在のAGA治療における最善策ということになります。
