今回は「トラマール(トラマドール)」の早漏治療効果についてです。トラマールはトラマールカプセルが発売中止となりOD錠が発売されたり、またトラムセットが発売されています。癌性疼痛に対して適応がありロキソニンを併用しますが疼痛に関しての詳細は添付文書などをご参照ください。吐気の副作用の頻度が多く、依存性があり中毒性のある薬剤です。腎機能の低下がある方は用量の調節が必要です。
- トラマール(トラマドール)とは
- 商品名)トラマール25mg トラマール50mg トラマールOD 25mg トラマールOD 50mg
- 販売元)日本新薬
- 成分名)トラマドール塩酸塩
- 適応)非オピオイド鎮痛剤で治療困難な疾患における鎮痛(疼痛を伴う各種癌、慢性疼痛)
トラマールOD錠25mg・50mgの画像
世界中のどの国でも早漏症の適応はありません。癌性疼痛のみ適応症でしたが最近、慢性疼痛も適応症となりました。文献でパキシルと同じ程度に延長効果があるとのことでした。研究段階の薬剤で実際の臨床で早漏症薬として用いられることはありません。
トラマール(トラマドール)の早漏改善効果はパキシルと同じで副作用は多い
2012年に中国のTao Wu氏らがパキシルとトラマールの早漏延長効果について比較した文献が1件あり、それによると適格基準を満たす例は7例のみ。抽出データのメタアナリシスでは、トラマドールはプラセボと比較し膣内射精潜時を3分延長したが(mean difference:2.77分、95%CI:1.12~4.47、p=0.001)、有害事象発現率は有意に多かった(オッズ比:2.89、95%CI:1.88~4.43、p<0.0001)。また、トラマドールとSSRIであるパロキセチンとの間に膣内射精潜時の差は認められなかった(mean difference:-0.44、95%CI:-5.07 ~ 4.18、p=0.85)。
つまり研究の基準を満たしたのは7人。その7人でトラマールの効果はパキシルと同程度でかつトラマールの副作用が強い、トラブルが多かったということです。症例数が少なすぎて何とも言えない文献ですがトラマールとパキシルであればパキシルを飲んだ方が無難といったところでしょう。
トラマールは依存性があり、吐気などの副作用がおおい
また、プリリジーと比べると効果が弱く、吐き気などの副作用が強いと予想されますのでプリリジーにとって代わる薬剤ではないでしょう。またトラマールは依存性がありますので注意が必要です。副作用ですがモルヒネほどではありませんが、便秘や吐き気、嘔吐、眠気などが現れやすいです。眠気は続けているうちに慣れて軽くなりますが、吐き気は少し長引きます。
パロキセチン10mg錠の画像
トラマール(トラマドール)の依存性=「トラマール中毒」
トラマールは麻薬ほどではありませんが「依存性」があります。過度な服用は「トラマール中毒」を引き起こす可能性があります。自己責任で服用してください。
早漏治療はプリリジー(ダポキセチン)
世界で唯一の早漏治療に適応を持つダポキセチンは3~4倍の射精時間の延長効果があることが知られていますが、プリリジー(ダポキセチン)という薬剤名で当院でも処方しております。
近年は早漏の原因が射精中枢で射精を抑制するセロトニンが射精を促すノルアドレナリンと比し、相対的に少ないことが原因であるとされております。プリリジー(ダポキセチン)は脳内のセロトニン濃度を高め、射精時間を延長させる薬剤で世界で唯一早漏に効能・効果を示す薬剤です。ダポキセチン以外で早漏症に適応のある成分はありません。
プリリジー30mg錠の画像 60mgもあります。
日本ではプリリジーの許可を得た医療機関のみが取り扱いをしています。
※プリリジーは国内で未承認ですが、厚生労働省は早漏専門クリニックの一部にプリリジー(ダポキセチン)の処方を許可しています。プリリジーの処方をしていないクリニックは厚生労働省から許可を取っておらず正しい早漏治療を行うことができません。ダポキセチンが唯一早漏症に適応を持つ成分です。