キノリンイエローとは
キノリンイエローは黄色203号(別名キノリンイエローWS)でタール色素に分類される合成着色料です。昭和41年8月の厚生労働省の省令に記されています。このキノリンイエローは医薬品や化粧品に以前から使用されていました。食品への添加は安全性が証明されていないので、食品への添加は認められていません。
フィンペシアとキノリンイエロー
Cipla社が製造販売しているフィンペシアもコーティング剤としてこのキノリンイエローを使用していましたが一時期キノリンイエローが発癌性物質であるという情報が流れました。これはキノリンイエローが子供の運動や学習に問題を起こす可能性があると一部研究で指摘されたためイギリスでは食品添加物として使用することを自主規制するようにメーカーに勧告していること、ヨーロッパ食品安全委員会(EFSA)もキノリンイエローの摂取制限をしていること、ほかの複数のタール色素が以前発がん性を指摘されたことがあり、噂が広まったようです。
結局は噂でした。FDA(アメリカ食品医薬品局)の日本の厚生労働省もキノリンイエローに対し特に対応を行いませんでした。食品と違い医薬品での場合はキノリンイエローごく微量なため特に規制はありませんし発癌性は認められていません。ただ売り上げに影響したのでしょうか、この噂に対応するためCipla社はフィンペシアの製造販売を中止し、キノリンイエローフリーの「エフペシア」の製造販売を行ったのです。このあたりの対応の速さはさすがCipla社といった感じです。
フィンペシアの注意点
フィンペシアの一番の注意点は他のフィナステリド製剤も同様ですがキノリンイエローは問題ではなく女性が触ってはいけない、飲んではいけないということです。これは通常の取扱いにおいて有効成分フィナステリドを用いた生殖発生毒性試験において、妊娠中の女性がフィナステリドに暴露されると生まれてくる男の赤ちゃんの生殖器奇形が生じる可能性があるからです。また経皮的な吸収の程度は明らかでなく、その結果生じる男子胎児及び乳児への危険性を否定できないため、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人はプロペシア(フィナステリド)を飲んだり触ったりしてはいけません。
フィンペシアのキノリンイエロー問題の結論
結論としてフィンペシアのこの問題について何の問題もないないので気にしなくていいと思います。気にされる方のためにプロペシアジェネリックは他に「フィナロ」・「エフペシア」等がありますがこれらはキノリンイエローフリーです。2014年よりフィンペシアもキノリンイエローフリーとなっており、日本で個人輸入・輸入代行される主なプロペシアジェネリックでキノリンイエローは使用されていません。
診察していると感じるのですがAGA治療をされている方は薬剤に思い入れがあり「プロペシアでないとダメ。」、「フィンペシアでないとダメ。」など特にフィナステリド製剤にこだわりがある方が多いようです。これはフィナステリドだけでなくミノキシジルなど他剤も同様の傾向があります。ただどの製薬会社の製品も主成分は「フィナステリド」ですし「ミノキシジル」です。添加物などに違いがあるだけです。今回はこの添加物が問題になりましたがかなり珍しい事例・噂だと思います。FDAや日本の厚生労働者は静観していましたので噂に惑わされず監督官庁などの発表も参考にして頂けるとよいと思います。フィナステリド製剤に関して監督官庁の厚生労働省は「安易な個人輸入は行わず、必ず医療機関を受診し医師の処方により正しく服用してください。」と注意喚起をしています。こういった点からもユナイテッドクリニックではきちんとした流通路をもつ医療機関で薬剤の処方を受けることをお勧めしております。